幸村の雪待日和

ゆきむらゆきまちのぶろぐ

めだかの学校――めだかボックス完結に寄せて

 ここしばらくの間一番興味深く読んだ作品、ということもあり何か書いておこうかとも思ったのだが、正直なところ全て作品内で言い尽くされているような気はしないでもない。しかし、それが読者へストレートに受容されたか、という点にはいささか疑問が残るので、その点には多少なりと触れておきたい。

 

 ――いわゆる週刊少年ジャンプの一般的な読者とのミスマッチが最後までこの作品にはつきまとっていたように見え、それが西尾ファンとしてはもどかしく写ったのは確かだ。(それもまた西尾維新暁月あきらにとっては織り込み済みの反応ではあったかもしれないが)

 ジャンプ漫画をメタ化――それも一部の読者にとっては「茶化している」と映るような手法で(個人的にはあれほど愛あるメタ化はそうないと思うのだがそれはさておき)しつつ、なおそれを基礎としてジャンプ漫画の王道に忠実なレールを走りぬいた作品――それがめだかボックスという漫画である(と思う)。

 それを彩る材料として西尾は自身の「戯言シリーズ」「人間シリーズ」「きみぼく」「ぶきそぼ」といった過去作からいくつかのキャラクターと彼らが抱えるテーゼを移植――いや、アップデートして持ち込んでいる。言うまでもなくめだかちゃんは時と所を変えた哀川潤だが、彼女について過去作では触れて来なかった部分(「哀川潤の失敗」などで触れていくのかもしれないが)を少年誌に合うような形で掘り下げたのがそのまま黒神めだかの歩みだったとも言えるだろう。

 当然ながら、めだかちゃんだけではジャンプ漫画として完成するには足りなかった。だからこその人吉善吉である。異能とイレギュラーの集合体であるめだかのカウンターパート――善吉は作品内においては異分子であり、それ故に「ジャンプらしい」主人公たる資格を得るのだ。

 

 と、ここまで書いたところで筆が止まった。

 気が向いたら続きを書く。多分、球磨川禊と安心院なじみについて。

 

 

 ともあれ、とりあえず。

 西尾先生&暁月先生、ありがとうございました。